1税額表の適用区分 日額表丙欄を適用する給与
【問1】当社は時期によって、日雇労働者やアルバイトを多数雇うことがあります。
これらの者に対しては、時給制で支給額を算定していますが、支払は1か月分をまとめて支払います。雇用期間については、継続して2か月を超えることはほとんどありません。 このような場合の源泉税の税額計算はどのように行えばよいでしょうか。 |
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【答1】 給与を支払うときには、会社などの源泉徴収義務者は、その給与から、所得税及び復興特別所得税を天引きし、税務署に毎月若しくは半年に一度納めなくてはなりません。その際に、いくら天引きしたらよいかというのをまとめたのが源泉徴収税額表です。この税額表は、月給に適用する月額表と日給に適用する日額表に分かれています。
月額表は「扶養控除等申告書」を雇い主に提出した場合は、最終的に年末調整までされる甲欄とそれ以外の乙欄の2種類があります。日額表はこれにさらに日雇い労働者用に丙欄があり、3種類あります。
さて、ご質問についてですが、1か月分をまとめて支払っている場合でも、日額表の丙欄を適用することが認められます。
日額表の丙欄は、日々雇い入れる者に対し、労働した日又は時間によって賃金等を算定し、かつ労働した日に支払うものに適用するのが原則ですが、次のようなケースについても、日額表の丙欄の適用が認められています。
①日々雇い入れる者の労働した日又は時間により算定される賃金等でその労働した日以外の日に支払われるもの(一の給与等の支払者から継続して2月を超えて支払を受けるものは除きます。)(注1)
②あらかじめ定められた雇用契約期間が2か月以内の者に支払われる賃金等で、労働した日又は時間によって金額が算定されるもの(雇用期間の延長や再雇用により2月を超えて雇用されることとなった者のこの2月を超える部分の期間につき支払われる給与等を除きます。)
したがって、ご質問の場合のように、日雇賃金を1か月まとめて支払っているような場合でも、賃金の算定が時間によって行われており、かつ、継続して2か月を超えることはない限りは、日額表の丙欄の適用が認められます。夏休みの間働く学生のアルバイトは日額表の丙欄で良いということになります。
(注)
1①の日々雇用者が一の給与等の支払者から継続して2月を超えて給与等の支払を受ける場合とは、その日々雇用者の1月を通じた就業の状態が常勤の雇用者と同等程度である状況が2月を超えている場合をいうため、常勤の雇用者と同等程度でない就業の状況(月に数日の勤務しかない場合など)であれば2月を超えて給与等が支払われても、当該給与等については丙欄の適用が認められます(所基通185-9)。
なお、上記②の継続雇用者の場合には、継続雇用期間が2月を超えた場合には、その就業の状況がどのようなものであっても、丙欄適用は受けられなくなります。
(注)2個別通達により、次の給与等については、丙欄適用が認められています。
A建設労務者で次に掲げる者以外の者に支払われる給与等(S41直法5-33)
①同一事業主に継続して雇用されることを常態とする基幹要員等
②同一事業主の雇用される期間が継続して8か月を超えて予定される者
③同一事業者に継続して1か年を超えて雇用された者
B大工、左官等の建設労働者で次に掲げる者以外の者に支払われる給与等(S47直法5・6)
①同一事業主の雇用される期間が継続して8か月を超えて予定される者
②同一事業者に継続して8か月を超えて雇用された者
C日々雇用の営業倉庫の荷役作業員及び港湾労働者に支払われる給与等(S41直審6、7)
D公営競争事業等(中央競馬、地方競馬、自転車競技、小型自動車競走及びモータボート競走)の開催の都度、当該事業に施行者に雇用される臨時従業員に支給する賃金(S50直法5-1)
【関係法令】所基通185-8、185-9