非居住者Q&A

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  • 13 使用料等の課税について

    【問13】当社は海外数か所で事業展開していますが、使用料等の取扱いについては、各国で違っているとのことですが、具体的にどういう違いがあるのですか。
     

    【答13】所得税法161条1項11号に非居住者の課税対象となる国内源泉所得として、使用料等の規定があります。 条文では「国内において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料又は対価で当該業務に係るもの
    イ 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡による対価
    ロ 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価
    ハ 機械、装置その他政令で定める用具の使用料」 と規定され、さらに所得税法施行令で用具は、車両及び運搬具、工具並びに器具及び備品とするとされています。
     実務においては、この使用料等に関する質問が非常に多いのです。
    国内法と租税条約で異なる定めがある場合、所得税法第162条の規定により租税条約が優先されますが、使用料等については、租税条約で免税となる国も多く、相手国によって源泉徴収が必要だったり、いらなかったりと、租税条約を確認する必要があります。また、所得税法では、使用地主義で規定されているのに、租税条約では、債務者主義だったりと所得源泉地も相手国によって変わります。

    例えば、内国法人A社のドイツ工場がドイツ法人から技術の提供を受け、その使用料をA社が支払った場合には次のようになります。
    区分 根拠規定 内容 結論
    国内法の取扱い所得税法161①十一使用地主義 国外源泉所得に該当⇒課税なし
    租税条約の取扱い 日・独租税協定12③、⑤ 債務者主義 国内源泉所得に該当⇒課税
       所得税法では、「国内において業務を行う者から受ける」とされていることから、日本国内では業務を行われていないため、国外源泉所得であり、この使用料については源泉徴収の必要はありません。
    しかし、租税条約では、支払う側(つまり債務者)に所得の源泉地があるということで、支払うときに源泉徴収が必要ということになります。
    1「使用地主義」とは、工業所有権等の権利がどこで使用されているかによって、その使用料の所得源泉地を決定する原則をいいます。
    2「債務者主義」とは、工業所有権等の権利がどこで使用されているかにかかわらず、その使用料の支払者がいずれの締約国の居住者であるかによって、その使用料の所得源泉地を決定する原則をいいます。

    著作権についても、ただの家電の取扱いなど原稿料の場合は著作権に当たらないし、翻訳料に関しても、著作権になる場合もあるなど、個々の事実関係で判断することになります。


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