非居住者Q&A

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  • 17 非居住者が受ける厚生年金又は国民年金の脱退一時金

    【問17】 非居住者が受ける、厚生年金又は国民年金の脱退一時金について、所得税法上及び租税条約上の取扱いはどうなりますか。
     

    【答17】厚生年金保険の脱退一時金は、所得税法第161条第1項第12号に規定する国内源泉所得に該当し、租税条約上、給与所得条項又は役員報酬条項が適用されます(役務提供地国課税)。
    すなわち、支払金額の20.42%が源泉徴収されます。 国民年金の脱退一時金は、同号に規定する国内源泉所得には該当せず、租税条約上、その他所得条項が適用され(居住地国課税)、源泉徴収対象とはなりません。
    我が国に短期滞在する外国人は、その給与等から、厚生年金又は国民年金の保険料を納付することになりますが、年金給付を受けることはほとんどないことから、出国後、本人の請求に基づき脱退一時金を支給することとされています。
    この一時金は、厚生年金保険法又は国民年金法の規定に基づく一時金であることから、「みなし退職所得」に該当します。
    我が国の国内源泉所得とされる退職所得は、退職所得(みなし退職所得を含む。)のうち、「支払いを受ける者が居住者であった期間に行った勤務その他の人的役務の提供に基因するもの」とされています。
    みなし退職所得のうち、給与所得者であった者が受けるものは、「勤務その他の人的役務の提供に基因するもの」として12号所得に含まれると解されますが、事業所得者であった者が受けるものは人的役務の提供に基因する所得とはいえず、12号所得には含まれないと解されます。
    したがって、厚生年金保険は使用人を被保険者としていることから、その脱退一時金は人的役務の提供に基因するものとして12号所得に該当しますが、国民年金の脱退一時金は、12号所得には該当しません。
    また、租税条約においては、厚生年金保険は使用人(役員を含む。)を被保険者としていることから、その脱退一時金は、租税条約上一般の退職一時金と同様に、給与所得条項又は役員報酬条項を適用(すなわち源泉徴収対象)することが相当であると考えられますが、国民年金は自営業者等を被保険者としていることから、その脱退一時金については、給与所得条項又は役員報酬条項の適用はなく、その他所得に該当する(原則として受給者の居住地国で課税される)ことになります。
    なお、厚生年金保険の脱退一時金を受けとった非居住者は、「退職所得の選択課税」の申告書を提出することにより居住者と同じように退職所得控除を適用した税額計算ができ、脱退一時金に課税された税金を取り戻すことができます。

  • <⇒退職所得の選択課税>

  • <関係法令> 所法31、161①一、八 所令281


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