非居住者Q&A

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  • 8 土地等の譲渡で契約時から引き渡し時の間に居住性が変わった場合の取扱い(居住者から非居住者へ)

    【問8】当社は、甲が所有する土地を1億円で譲り受けることとなりましたが、当社は、売買契約時に手付金1千万円を支払いましたが、その後、その土地の引渡を受ける前に売主である甲は2年間の海外勤務のため出国してしまいました。 当社は非居住者になってしまった甲に残金9千万円を支払うこととなりますが、この残金について非居住者として源泉徴収を要することとなりますか。
     

    【答8】残金の9千万円については、支払いの際、非居住者として源泉徴収(9百万円)を要します。
    土地等の譲渡による対価が居住者に支払われるのか、非居住者に支払われるのかの判定は、当該譲渡による譲渡所得の収入金額の収入すべき時期(所基通36-12)とされる土地等の引渡しがあった日において、その者が居住者又は非居住者のいずれであるかによって判断することが相当です。
     したがって、当社が残金を支払うときに甲は非居住者となっているため、その支払の際に、非居住者に対する源泉徴収(譲渡対価の10%)を要することとなります。
    この場合、出国の日後に支払った対価のみ(残金だけ)が源泉徴収の対象となるのか、出国前に支払った対価も含めて(手付金についても遡って)源泉徴収の対象とするのかが問題となりますが、次の理由から、出国の日後に支払った対価のみを源泉徴収の対象とすることが相当です。
    ①源泉徴収はその支払の際に行うこととされていることから、一義的には、その支払を行う日の現況における譲渡者の居住性をもって判定することが合理的であること。

    ②源泉徴収不要と判定したものについて、譲渡者側の事情で引渡しのときには非居住者であるからといって、遡って源泉徴収を行わせることは支払時の源泉徴収という制度の趣旨からして不合理であること。
    ③仮に出国してしまうことにより納付させることができないとしても、それを善意の源泉徴収義務者に負担させることには問題があること。

     実務においては、残金を支払う段階で非居住者になっていないかを再度確認する必要があります。
      日本に居住していた外国人が日本を離れるにあたって自宅を売却した事案で、残金を支払ったのが非居住者になってからだったのに、源泉徴収をせずに送金してしまい、税務署に20%の源泉徴収をするように言われたものの、譲渡者が行方不明で連絡がつかず、困っているという相談が寄せられたことがあります。

    <関係法令>所法161①五、所基通36-12


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