会社設立にあたって支出した経費等の処理
【問4】現在、会社員ですが、会社を辞めて、自分で起業しようと思っています。
その際、会社設立にあたっての費用や会社設立前でも宣伝をしたり、事務所を借りたりと各種の費用がかかると思われますが、これらの経費をどう扱えばよいでしょうか。 |
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【答4】個人事業者が会社となるいわゆる法人成ではない場合、法人税法基本通達2-6-2において、「法人の設立期間中に当該設立中の法人について生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。」
と規定されており、基本的にその最初の事業年度の費用となります。
ただし、その支出の中に開業費や創立費に該当するものがあれば、繰延資産になります。
1 開業費
会社設立後から営業を開始するまでの、開業準備のために特別に支出した費用をいいます。特別に、というところがポイントで、開業後も経常的に発生する費用については税法上、開業費とはみなされません。開業費ではなく、支出年度の費用として処理します。
〇 特別支出の具体例 → 開業費になります。
・印鑑、名刺などの作成費用
・開業に際して行う広告宣伝費、チラシ作製費
・会社案内などのパンフレット作製費
・出資者との交際費、接待費、そのほか食事代
〇 経常費用の例 → 開業年度の費用になります。
・土地や建物の賃借料
・通信費
・消耗品費
・従業員の給料
・水道光熱費
・保険料
・借入金利子
開業準備に要した費用は、一括して開業費勘定(繰延資産)で処理しますが、20万円未満であれば支出した年度の費用として処理できます。その場合、個別に開業費以外の該当科目での仕訳となります。
償却する場合、その金額は60か月の均等償却、もしくは任意償却の方法をとります。
任意償却の場合、支出した年に全額償却できますし、いつでもいくらでも償却費として必要経費に算入することができます。たとえば、開業後6年間赤字が続いて、ようやく7年目に大きな黒字になったような場合、赤字の期間は償却費を計上せず、7年目に全額一括で償却するということもできます。
支出年度に一括償却すると赤字になってしまうケースもあるので、任意償却を選んで年度末決算後、利益確定してから開業費の償却額はいくら、といった決め方が良いと考えられます。
2 創立費
創立費は会社の設立のために支出した費用で、たとえば以下の費用が創立費に該当します。
・登録免許税
・事務所の賃借料
・発起人への報酬
・設立に際し事務員を雇った場合の給与
・金融機関に支払った取扱手数料
・創立総会費用
・株主を募集するための広告宣伝費
・定款や諸規則の作成費用
創立費は支払い時に費用として処理し、会社の設立前に支出した費用は設立の日付で仕訳をおこないます。創立費は繰延資産の繰延資産になり、開業費同様、任意償却ができます。
(法人の設立期間中の損益の帰属)
法基通2-6-2 法人の設立期間中に当該設立中の法人について生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益又は当該法人が個人事業を引き継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益については、この限りでない。(昭55年直法2-8「十」により追加、平12年課法2-7「七」、平19年課法2-3「十二」により改正) (注) 1 本文の取扱いによって申告する場合であっても、当該法人の設立後最初の事業年度の開始の日は1-2-1によるのであるから留意する。 2 現物出資により設立した法人の当該現物出資の日から当該法人の設立の日の前日までの期間中に生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することとなる。 |
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