移住と相続税
【問12】外資系投資会社に勤務していた父が、昨年退職し、日本国内の財産を処分し、オーストラリアに母と移住しました。 将来、父が亡くなった場合、オーストラリアにある父の資産に相続税はかかりますか。もしかかる場合、相続税をかからないようにする方法はありませんか? なお、父の相続人は、母と私、妹の3人です。 私と妹は、日本に居住している日本人です。 |
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【答12】前問で説明した通り、被相続人(亡くなった人)か相続人のどちらかが日本の居住者の場合、全世界にある財産に日本の相続税がかかります。外国人の場合は短期滞在外国人に該当すれば、国外の資産にまでは課税は及びませんが、日本人の場合は、世界中の資産が課税対象となります。よって、ご質問の場合、豪州にあるお父様の資産についても課税対象となります。
それでは、どうしたら、日本の相続税から逃れることができるかというと、被相続人(亡くなった人)と相続人全員(あなたと妹さん)が海外に移住し10年経過すれば相続税の対象外となります。
平成29年3月31日までは、移住して5年経過することが条件だったのですが、税制改正により10年に変更されました。
オーストラリアは、現在、相続税と贈与税がない国ですので、10年以上、お父さんとあなた方が、オーストラリアに移住していれば、相続税(又は贈与税)を支払うことなく、相続する(贈与を受ける)ことができます。ただ、オーストラリアに限らず、現在は相続税がない国であっても今後の10年で相続税が導入されるリスクもあります。
相続税の居住形態別の課税範囲のチェックテスト ① 亡くなった人(被相続人)か相続人が日本に住んでいますか? は い → 全世界の資産が課税対象END いいえ→ ②へ ② 亡くなった人(被相続人)は日本を離れて10年以上経過していますか は い → ③へ いいえ → 全世界の資産が課税対象 END ③ 相続人は外国籍ですか? は い → 日本にある資産だけが課税対象END いいえ → ④へ ④ 相続人は日本を離れて10年以上経っていますか? は い → 日本にある資産だけが課税対象END いいえ → 全世界の資産が課税対象 END |
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