相続・贈与Q&A

相続税の節税対策

【問4】相続税の節税対策を教えてください。
 

【答4】相続税の節税対策はいろいろありますが、オーソドックス方法は以下の通りです。
1 贈与で相続財産を少なくする
(1)暦年課税の贈与の活用
贈与税の基礎控除は110万円ですから、110万円までの贈与には課税されません。
しかし、この方法では10年間で相続人一人につき1,100万円しか贈与できません。
 視点を変えて贈与税の課税最低税率10%に着目すれば、課税価格200万円(贈与金額310万円)迄は10% の税率で済みます。
 つまり、310万円の贈与に対して20万円の贈与税を払うことによって10年間で3,100万円(贈与 税は200 万円)が移転できます。
 相続税の税率が10%を超えることが想定される場合は、贈与の活用も有効です。
(2) 配偶者への贈与
婚姻期間が20年以上の夫婦間において居住用不動産又はそれを取得するための金銭の贈与をしたときに は、贈与税の計算する際に贈与財産の価額から2,000万円の控除をすることができます。
したがって、贈与税の基礎控除を含めると2,110万円までの贈与財産は贈与税が課税されないことになり ます。
■ 婚姻期間が20年以上の夫婦間で1回だけ贈与税の配偶者控除は利用できます。
■ 既存の居住用不動産の贈与は持分の贈与で配偶者控除の適用があります。
⇒ ただし、配偶者は、相続時、その資産が1億6千万円以下の場合は、もともと相続税はかからないし、生前贈与してしまうと居住用の土地の評価減(80%減)も利用できないし、この制度を用いて、配偶者に名義変更などをして、登録免許税などの登記費用をかけるのは無駄なので、通常はお勧めできません。

(3) 相続時精算課税制度の利用
60歳以上の親から、20歳以上の子及び孫へ2,500万円までは無税で贈与でき、2,500万円を超えると超え た額について一律で20%の贈与税が課されます。
ただし、親の相続税の計算の際に、贈与した金額を全て相続財産にプラスし、支払った贈与税を相続税 額から控除することになります。
贈与の時には2,500万円までは課税しないが、相続の時には相続財産に加えてください、という制度で す。相続時の税率が高い方には、逆に不利になります。
2 現金・預金を不動産に換える
相続税相当額以上の現金預金については、不動産に換えることにより、節税が可能です。
これは、現金よりも不動産の方が相続税評価額を安くすることができるからです。
現金預金はそのままの額が相続税評価額となります。
土地の場合は、原則として路線価による評価方法が一般的で、評価額は取引価格の60~80%程度です。ま た家屋の場合は、相続税評価額の計算は固定資産税の評価額で評価します。
この固定資産税評価額は取引価 格の50~70%程度が一般的です。 従って、現金預金よりも不動産で資産を持っているほうが節税には有効です。
しかし不動産は、持っているだけで固定資産税などの税金がかかったり、すぐにお金に換えることは出来 ないなどのデメリットもあります。
また、購入しても不動産そのものの価値が下落するリスクもあります。節税対策で不動産を購入してもそ の不動産が節税額以上下落したら何の意味もありません。
3 空き地にアパート等を建設し不動産の評価を下げる
空き地に建物を建設した場合、相続においては、建物の実際の建築価格ではなく固定資産評価額により評 価されますので、実際の建築費に比べてかなり安く評価されます。更にアパート・マンションなどの賃貸に することで、借家権という権利を控除することができるため、多くの場合、建物の評価は建築費の半分以下 となります。
借入金で建物を建てた場合、借入金はその借入残高そのものが債務として相続財産から引くことができ、 建物は評価減があり、相続税の課税価額を全体として減らす効果があります。
ただし、そのアパート等がうまく運用されない場合のリスクも考慮すべきです。
4 生命保険金の活用
生命保険金は、500万円×法定相続人の数が非課税になります。また、現金で支払われるため、相続人の 納税資金にしたり、財産分割の際の資金に活用することができます。
生命保険の中には、ある程度の年数が経てば元本保証の保険があり、90歳まで加入できる貯蓄型の保険 もあります。
5 生前にお墓、仏壇などを購入する
相続税の申告において、お墓や仏壇の購入費用は、葬式費用には含まれないため、没後に購入したら 何の節税になりません。
このため、どうせお墓や仏壇を購入するのでしたら生前に購入した方が得です。
お墓、礼拝物、仏壇などは非課税財産になっています。お墓の場合ですと、使用権を買うだけで土地を買 う訳ではありませんので、不動産取得税もかかりまません。ですから、親などが生前に墓をたてればその 分は非課税となりますので、相続する遺産が減り相続税が減りますので節税になるといえます。
6 養子を迎えて基礎控除額等を増やす
昔から利用されている手法が、孫を養子にするという手法です。
養子縁組をすることで、法定相続人の数を増やしますことにより、基礎控除を増やしたり、生命保険の非課 税枠を増やせたり、適用される税率を下げることができます。
しかし、相続税の計算上法定相続人の数に含めることができる養子の数は、次のとおり制限されています。
■ 実子がいるとき・・・・・・ ・・養子とみられるのは1人だけ
■ 実子がいないとき ・・・・・・ 養子とみられるのは2人まで
ただし、養子の分だけ、本来の相続人の相続財産への分配が減ったりすることもあり、トラブルになるこ ともあるので、慎重な判断が必要です。

   

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