相続・贈与Q&A

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  • 相続を放棄したことにより相続順位の変更があった場合の生命保険金に係る非課税限度額の計算

    【問6】甲は、平成28年7月21日、交通事故で死亡。
    甲の死亡によって、Bは、P生命保険会社から3,000万円の生命保険金の支払を受けた。この生命保険金は、全て甲が保険料を負担していたものである。
    ところで、丙及び丁は、甲にそれほど財産等がないこと及びBが高齢で収入等がないことを考慮して、甲に係る 相続について、民法938条(放棄の方式)により所定の手続により放棄している。
    この場合、Bが取得した生命保険金について、生命保険金に係る非課税限度額の計算はどのように取り扱うこと になるか。


     

    【答6】 Bが取得した生命保険金については生命保険金に係る非課税の計算の適用を受けることができます。
    被相続人の死亡により相続人(相続の放棄をした者や相続権を失った者を除く。)が受け取った生命保険 契約又は損害保険契約の保険金のうち、被相続人が負担した保険料に対応する金額については、その相続人 が相続によって取得したとみなされ、その取得した保険金の合計額のうち500万円に相続人の数を乗じた金 額に相当する部分については、相続税が課税されない(非課税)こととされています(相法3、12①五)。
    ご質問の場合、第1順位の相続人である子(丙及び丁)の相続放棄により、相続人の順位に変更が生じ、 第2順位の相続人である親Bが相続人となるので、Bが取得した生命保険金は相続により取得したものとな ります(相法3①)。
    その結果、Bが取得した生命保険金については、生命保険金に係る非課税の計算の適用を受けることがで きる(相法12①五)ことになります。
    なお、非課税限度額の計算において500万円に乗じる相続人の数に係る相続人は、相法12条1項五号イの規 定により、相法15条(遺産に係る基礎控除)2項に定める相続人である。そして、同項に規定する相続人と は、被相続人に係る民法第5編第2章の規定による相続人(相続の放棄があった場合にはその放棄がなかった ものとした場合における相続人)に該当する者とされていることから、ご質問の場合には相続の放棄をした 丙及び丁の2人となります。
    Bは法定相続人ではないので、この人数には含まれません。
    【参考】
    「相続の放棄をした者」とは、民法915条から917条までに規定する期間内に同法938条の規定により家庭裁 判所に申述して相続の放棄をした者(同法919条2項の規定により放棄の取消しをした者を除く。)だけをい うものであって、正式に放棄の手続をとらない事実上相続により財産を取得しなかったにとどまる者はこれ には含まれないこととなる(相通3-1(「相続の放棄をした者」の意義))。
       

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