相続・贈与Q&A

相続開始前3年以内に自己又は配偶者の所有する家屋に居住したことがない者の意義

【問7】長男乙は、父甲の死亡により、それまで甲がひとりで居住していた甲所有の家屋及び敷地を 相続により取得した。
乙は、甲が死亡する5年前に家屋及びその敷地を購入し家族と住んでいましたが、購入後1年して転勤とな ったため、自宅を知人に貸し付け、以後社宅に居住していました。
この場合、乙が相続した家屋及びその敷地を相続税の申告期限まで引き続き所有すれば、特定居住用 宅地等として80%の減額が受けられますか。

 

【答7】特定居住用宅地等に該当することから、80%の減額が受けられます。
被相続人の配偶者又は相続開始の直前において被相続人の居住していた家屋に同居親族がいない場合において、被相続人の居住の用に供されていた宅地を相続又は遺贈により取得した者が、相続開始前3年以内に国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがなく、かつ、相続開始時から相続税の申告期限までその宅地を所有しているときは、その宅地は特定居住用宅地等として80%の減額が受けられることとされています(措法69の4③二ロ)。
 これは、会社の勤務の都合等により被相続人と同居できなかった者にも特例の適用を認めようとする趣旨 であることから、その居住用宅地の上に存する被相続人の居住用家屋に居住することは要件とされていません。
したがって、長男乙は、相続開始5年前に自宅を取得して自己の所有する家屋に居住したことがありますが、購入後の1年で転勤となり、相続開始前3年の期間内においては自宅を知人に貸し付けており、「所有」はしているものの「居住」はしていないことから、上記の「相続開始前3年以内に国内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがない者」に該当するため、特定居住用宅地等の80%の減額が受けられることとなります。

   

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