所得税Q&A

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  • 6 太陽光発電の売電収入の所得区分

    【問6】次のケースの太陽光発電による余剰電力の売電収入はどの所得区分になるのですか。
     ① 青色をしている事業主の自宅に設置した太陽光発電設備の余剰電力の売電収入
     ② 個人商店が自宅兼店舗に設置した太陽光発電設備の余剰電力の売電収入
     ③ 賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入
    ④ 不動産賃貸業を行う個人が、賃貸不動産に太陽光発電設備を設置し、全量売電を行っている場合の売電収入

    【答6】余剰電力の買取りは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、太陽光発電による電気が太陽光発電設備が設置された施設等において消費された電気を上回る量の発電をした際、その上回る部分が当該施設等に接続されている配電線に逆流し、これを一般電気事業者である電力会社が一定期間買い取ることとされているものです。 余剰電力の売却収入については、それを事業として行っている場合や、他に事業所得がありその付随業務として行っているような場合には事業所得に該当すると考えられますが、給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には雑所得に該当します。
    ご質問の①については、事業主の自宅に設置しているので、事業関連は認められず、雑所得となります。雑所得ですので赤字になったとしても事業所得の利益と通算できません。



    ②については、事業所得の付随収入となります。 自宅兼店舗ということなので、太陽光設備により発電した電気は店舗と自宅の両方で使用され、さらにその余剰部分を電力会社に売却するものです。そのため、余剰電力の売却収入は事業所得の付随収入又は雑所得のいずれかに該当すると考えられますが、本件設備が店舗と自宅との兼用であるとしても、発電される電力が現に事業所得を生ずべき業務の用に使用されている限り、この太陽光発電の設備は事業用資産に該当しますので(所法2①十九)、その資産からもたらされる収入については、全て事業所得の付随収入とするのが相当です。
    この場合、必要経費に算入する減価償却費の額は、発電量のうち売却した電力量以外の割合を店舗と自宅における使用の実態に基づく使用率や使用面積割合等の合理的な基準による店舗の使用割合によりあん分し、その割合と発電量のうちの売却した電力量の割合の合計を事業用割合として計算することが考えられます。 事業所得の付随収入と判断されるので、事業所得計算上の雑収入に算入することになります。


    ➂についても、不動産貸付の業務の付随収入と判断され、不動産所得上の雑収入に計上することになります。


    賃貸アパートの共用部分で使用する電気料金は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。
    太陽光発電設備により発電された電力は、まず、賃貸アパートの共用部分に使用され、共用部分の電気料金は減少し、その分不動産所得の金額の計算上必要経費に算入される金額も減少することになります。
    このように、太陽光発電設備による発電が不動産所得の金額について増減させるものであり不動産所得と密接に関係していると考えられるこから、その余剰電力の売却収入も不動産所得に係る収入金額に算入し、その所得金額を計算するのが相当と解されます。
    ④について
     全量売電ならば、不動産所得とは切り離して、その売電が事業規模で行われていたら事業所得、事業規模で行われていない場合は、雑所得となります。


    なお、減価償却費の計算上、太陽光発電設備は、太陽電池モジュール、パワーコンディショナーなどが一体となって発電・送電等を行う自家発電設備であることから、一般に「機械装置」に分類されると考えられますので、その耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」に該当し、17年となります。


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